青森県上北郡七戸町字町7-2
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ブログ

「察する文化」と「主張する文化」

2018/05/14
 2014年のサッカーのワールドカップでは、日本は残念ながら予選リーグで敗れてしまいました。私は「にわかファン」とすら言われない程度なので、ニュースで結果を知ることがほとんどなのですが、初戦のコートジボワール戦後、「試合で負けたにも関わらず日本人サポーターは会場のゴミ拾いをした」と、各国から称賛されたというニュースが流れ、とても印象に残りました。
  日本は他国と比べ、自分の意見を上手に主張できないと言われ、最近ではディスカッションやプレゼンテーションなど、意見を発信する事を念頭に置く雰囲気が増えてきました。しかし、私はそのことに少しだけ違和感を覚えます。他国の「主張する文化」に対し、日本は「察する文化」と言われています。相手のことを第一に考え行動することがこの「察する文化」です。そんな文化だからこそ、上記のようなゴミ拾いをするといった発想が生まれるのだと思います。もちろん「主張すること」も大切なことすが、「察すること」「思いやること」をもっと大事にしてからの「主張」であるような気がするのです。
  「こちらは客なんだから」「私にその義務はないから」と自分の立場を一方的に主張したり、思いやりの感じられない言動をしたりする人がテレビなどで取り上げられることがあります。「店員と客」や「担当者と利用者」等の関係の前に「人と人」であることを忘れてはなりません。互いが気持ちよく過ごせるよう、互いが気配りできてこそ、より良い関係が生まれるのではないでしょうか。
  7月の徳目は「布施奉仕(ふせほうし)」です。「布施」や「奉仕」と書くと何だか仰々しく感じますが「誰にでも親切にしよう」ということです。つまり、「思いやりの心をもつ」ことが重要です。当たり前だと思っている周りとのつながりを、見直す機会を設ける事も必要なのだと思います。
  まだまだ思いやりの一歩にも満たないかもしれませんが、私も食後には自分の使った食器ぐらいは片付けようと思います。(2014.7)

「いただきます」と「ごちそうさま」

2018/05/12
 友人と食事に行くと、よく「お坊さんは肉とか魚とか食べられないんでしょ?」と聞かれます。仏教には「不殺生戒」というきまりがあり、生き物を殺生してはならないということから、多くの方がそう考えているものと思います。しかし、考えてみると肉や魚だけでなく、米や野菜、果物にも命はあります。また、普段歩いているだけでも目に見えない虫を踏んでいたり、病気になれば薬を飲んで細菌を退治しています。つまり、言葉の通りに捉えると私たち人間は生きていくことができません。より良く生きるための戒が、これでは全く意味をなさないことになってしまいます。そう考えると、言葉の奥深くにある真意を考える必要があるのではないか、ということにたどり着きます。
  この「不殺生戒」とは「生き物を殺す殺さない」ということが問題ではなく、「頂いた命のエネルギーをどんなことに使うのか」ということが重要だと考えます。私たちの命は、様々な命のお陰で成り立っています。だからこそ、頂いた命のエネルギーを、自分のためだけでなく周りのために回し向けることが、頂いた命を「活かす」ことに繋がるのではないでしょうか。食事の挨拶「いただきます」と「ごちそうさま」。「いただきます」とは「命をいただきます」という意味があります。また、「ごちそうさま」は漢字で「ご馳走様」と書き、自分のために食材準備に「奔走」してくれた方々への感謝が込められています。「不殺生戒」の本当の意味が、ここから見えてくるような気がします。
  6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」です。「生き物を大切にしよう」ということですが、周りのお陰で自分がいることに気づくことが、生命尊重の第一歩となると思います。また、生き物だけにとどまらず、物を大切にすることも命を大事にする心を育てることに繋がっていくのではないでしょうか。
  いずれにしても、食べ過ぎ飲み過ぎはいけませんね…(2014.6)

「持戒」と「自戒」

2018/05/11
 ある新聞投稿より…「妻の父が危篤との連絡を受け、高速道を急いだ。『息のあるうちにせめて一目だけでも』と祈りながら車を走らせた。パトカーに止められた。いつもは守るのだが、この時ばかりは20キロオーバー。開き直るつもりはない。罰金は払う。しかし、時間は返して欲しい。僅かの差で間に合わなかった。警察は言った。『どんな事情があろうと違反は違反だ』。確かにその通り。しかし、法とは誰の為にあるのだろう。法とは一体、何なのだろう。」
  上記の投稿に対する投稿…「家族の無念さ、心よりお察し致します。家族の死の悲しみが大きいほど、摘発に対しての怒りも大きいと思います。私の叔母は、青信号で横断歩道を横断中に、病院に急いでいる方の車にはねられ亡くなりました。警察の取り締まりは、スピード違反などで死ななくてよい人が死亡している現実があるからです。家族が交通事故で死亡した場合の悲しみと怒りがどれほどのものか、想像いただけると思います。事故を起こしたら、理由は関係ありません。今回、事故に遭わずに病院に着かれたことに安心すると共に、お父様のご冥福をお祈りいたします。」(朝日新聞2003/1/15・31どちらも一部編集)
  1つ目の投稿者の気持ちが私自身の中にもあっただけに、2つ目の投稿にハッとさせられました。
  5月の徳目は「持戒和合(じかいわごう)」です。「きまりを守り、集団生活を楽しもう」ということですが、子育てをする際、なるだけ問題なく面倒にならないようにと、とにかくきまりを守らせたり、先回りをして子どもの行動に制限を加えてしまうことがあります。しかし大切なことは、みんなと仲よく、より楽しい生活を送るためにはどんなことに気を付けた方がよいのかを、子ども自身が考え、気づき、実行することであると思います。「してはいけないこと」ではなく「より良くするために気をつけた方がよいこと」という視点で、私たち大人が子どもたちの自主性を引き出してあげることが重要なのです。
  自分自身と自身の子育てに対する「自戒」を込めて…。(2014.5)