青森県上北郡七戸町字町7-2
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ブログ

大蒜

2018/11/28
 最近、熟成肉、熟成魚(「エイジングフィッシュ」と言うそうです)という言葉を見かけることが多くなりました。魚は種類にもよりますが、新鮮なうちではなく、時間をかけて寝かせることによって、より美味しくなるという考えです。寝かせている間にATPやADPという物質が分解されて、イノシン酸という「旨み成分」が出るという仕組みで、このイノシン酸が一番出ている時が「熟成した」状態であり、その時期を過ぎると腐ってしまうのだそうです。熟成方法そのものは非常にシンプルで、食材をいい状態で仕入れたら、簡単な処理をして低温で寝かせ、香りと旨味が最高潮に達した絶妙なタイミングで出すというものですが、そこが一番難しい部分でもあります。特に、熟成のピークを見極めるのは、ある一定の科学的根拠はあるにせよ、食材それぞれの様子を判断しなくてはなりません。製法は異なりますが、青森県には黒ニンニクというものがあります。こちらは、適度な湿度を保ち高温で2週間~4週間ほどかかり、最初の5日ほどはニオイが大変なのだそうです。
  どちらも、必要以上に手をかけませんが、しっかりと環境を整え、時間をかけじっくり頃合いを窺うことで、その素材の良さを引き出しています。
  さて、12月の徳目は「忍辱持久(にんにくじきゅう)」、「根気強く取り組もう」です。子育ても、食材を熟成させる方法と通じる部分があるように感じます。私は、子どもが失敗しないようにと先回りで手をかけてしまうことがしばしばありますが、手をかけすぎると、子ども自身の成長に繋がりません。環境を整えてあげ、時間をかけじっくりと向き合うことも大切なのではないかと感じます。かといって、放任してしまうとそれも逆効果です。子どもの成長する力を信じつつ、必要なタイミングで手を差し伸べる。大人の根気強さが試される場面なのだと感じます。
  忍辱で大蒜(ニンニク)を思いついた割りに、大蒜はとってつけたような内容であることが、この文章の熟成していないところです。(2016.12)

舞踏

2018/11/19
  「本当に頑張っている人は自分が頑張っている事に気づかない」
  「きむ」という詩人の言葉です。ある時期、おぼろげながら同じことを考えており、その時に出会った言葉だったため、非常に心に残っています。
  先日、お笑い芸人のキンタロー。さんが、社交ダンスの日本代表を決める大会で見事優勝を果たし、ニュースになりました。社交ダンスの経験のあるキンタロー。さんがどんどんレベルの高い大会へ出場していくという、とある番組の企画です。大学時代に社交ダンスを始めたキンタロー。さんは、メキメキ力を付け、日本代表戦で4位になるほどの実力者になります。大学卒業後はプロのダンサーとして一度は世界大会への出場資格を得るものの、家庭の事情や持病の悪化により、社交ダンスそのものを諦めお笑い芸人になりました。
  「自分が見たかった景色をもう一度見ることができたことに感動しています。こうやって信じて頑張ってたらこういう光を浴びることがあるんだな。」「深夜の練習まで頑張ってつらかったですけど。めちゃめちゃ楽しかったですね。」大会後のキンタロー。さんと、そのパートナー岸さんの言葉です。しかし、練習に励んでいる時は「自分は頑張っている」などと考える余地なく集中していた、もしくはその状況を楽しんでいたのではないでしょうか。だからこそ、最後までやり遂げることが出来るのだと思います。
  さて、11月の徳目は「精進努力(しょうじんどりょく)」、「最後までやり遂げよう」です。これからおゆうぎ会の練習が本格的に始まります。子どもの頃から上記のような取り組む姿勢を育てることは難しいことなのかもしれません。しかし、まずは一つの物事をやり通す事のすばらしさを体験し、そのことにより集中して取り組む姿勢やその状況を楽しむ心を育てるきっかけに出来ればと考えています。
  今月はオチが思いつかないのですが、いつも頑張っているから今回ぐらいはいいですよね…と、考える余地のある、頑張れない私です。(2016.11)

跳躍

2018/11/16
 週刊少年ジャンプという少年誌に連載されていた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(通称【こち亀】)という漫画がついあります。40年間一度も休載することなく掲載し、単行本は200巻を数えニュースにも取り上げられていたので、ご存じの方も多いと思います。
  作者は、万が一のために数週間分の原稿をストックしていました。また、原稿は余裕をもって〆切前に必ず仕上げる徹底ぶりでした。そのため、東京23区のゴミ袋が条例により半透明となることをテーマとした回には、肝心の条例が実施直前に延期となってしまい、現実が漫画とそぐわなく、危うく原稿がボツになってしまうこともあったほどです。それだけ、休載することを避け、読者に作品を届けようと努力されていたことが見て取れます。そしてこの40年間休載無しという快挙は、作者の方はもちろん、スタッフみなさんの「読者に対する思い」が一致したからこそ、成し遂げられたことなのではないかと感じます。作者の方を中心とした、まさにチームプレーを象徴する漫画なのではないでしょうか。
  さて、10月の徳目は「同時協力(どうじきょうりょく)」、「お互いに助け合おう」ということです。今年度の運動会も保護者の皆様のおかげをもって無事終了することが出来ました。特に今年は、小学生のお兄さんお姉さんの力も借りることができ、ご家族皆様と職員の「子どもたちに対する思い」が結集したからこそ、子どもたちが遺憾なく力を発揮できたと思います。園でも、子どもたちが運動会で頑張った成果を誉めつつ、多くの人に支えられていることも意識できるよう、今後も努めていきたいと思います。
  中学校の修学旅行の際に「こち亀」で見たマニアックな観光スポットにどうしても行ってみたくて、「こち亀」好きな仲間と「協力」して担任の先生に許可をもらったことが懐かしく思い出されます。(2016.10)

口癖

2018/11/15
  教員をしていた頃、クラス対抗でゲームをしました。その内容は、一つのお題に対し学級担任とクラスの代表者がそれぞれ答え、互いに合っていればポイントというものです。そのお題の一つに「学級担任の口癖は?」というものがありました。私は、できるだけ生徒達に感謝の言葉を遣うようにしようと心がけていたつもりだったので「ありがとう」と答えました。しかし生徒の答えは「はい」でした。私はよく、話し始める時や話題を変える時に「はい、それでは~」といった具合に遣っていたそうです。代表生徒の答えに対し生徒達はそうだそうだとうなずいて大盛り上がり。一方、私の書いた答えには、先生は何を言っているんだ?と言わんばかりにキョトンとしていました。意識しているつもりでも、「ありがとう」という言葉は他の言葉に比べれば圧倒的に遣っていないのだなと実感する機会でした。
  9月の徳目は「報恩感謝(ほうおんかんしゃ)」「あらゆることをありがたく感じよう」ということです。日本人は口癖で、誰かを呼びかける際にも「すみません」と言います。しかし、それをそのまま英訳し、海外で「ソーリー」と言うと「何を謝罪することがあるのだ」と怪訝な顔をされます。日本人の謙虚な姿勢がネガティブな形で出てしまう部分であると思います。普段の生活でも「お手数おかけして、すみません」「ごめんね、手伝わせて」と遣いたくなってしまう場面が多くありますが、「ありがとうございます」「ありがとう」とポジティブな受け答えができれば、もっと豊かな人間関係が構築できるのではないかと思います。「あやまる」は漢字で「謝る」ですが、「謝」は、漢字が伝わってきた中国の「謝謝(シエシエ)」からも読み取れるように、そもそもは「ありがとう」の意味を持っています。私たち大人がもっと「ありがとう」の言葉を、子どもたちにはもちろん、周りの人たちにそれこそ口癖になるくらい意識的に用いることが大切なのかもしれません。
  妻に、「いつも呑みに出してくれてありがとう」と伝えようと思います。(2016.9)

自利

2018/11/12
 メジャーリーグ、マーリンズ(当時)のイチロー選手が、日米合算ではありますが、ピート・ローズのもつメジャー通算最多安打記録4256本を上回りました。また、メジャー通算の安打数も3000本目前で、連日ニュースに取り上げられていました。最近は多くの人が、選手としてだけでなく人間的にもイチローの立ち振る舞いに刺激を受けています。「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。」という本人の言葉が物語る通り、イチローは野球をするために日々の準備を怠らず、ひとつひとつのプレーを大切にしています。そして、「前向きに食事をし、前向きに買い物をした。何事も前向きに行動することが可能性を生む。」と、直接野球に関わらない時間も野球に繋がるよう意識しています。このような、イチローの野球に向かうこだわりは、一時期「自分主義だ」と揶揄する人も一部いたほど、どんなときも決して崩れません。「何年、野球をやっても勉強することがあるのです。」と自分が追い求めているものに対し、とことん真摯に向かうことで、ただ技術が上達するだけでなく、人間としても大きくなるのだと思います。そして、その姿に私たちは感動し、勇気をもらい、考えさせられるのだと思います。
  8月の徳目は「自利利他(じりりた)」「出来ることはすすんでしよう」です。本来の意味は「自らの悟りのために修行し努力し、他の人の救済のために尽くすこと。」であり、自利【自分の利益】とは自分の成長のために、広い視野をもって何事にも積極的に取り組むことだと思います。そしてそれが、いずれ周りのためにも繋がっていきます。当園の年長は、鼓隊やお茶、日本舞踊、英会話など様々な取り組みをしていますが、これらはただ技術を身に付けるためではありません。鼓隊であれば、仲間と音を合わせることで協力する大切さに気づき、お茶であれば、作法を通して相手への思いやりを感じ取るきっかけとすることを一番の目的としています。ひとつひとつの取り組みを通して、周りとの豊かな繋がりを育てていけるよう、これからも取り組んで参ります。
  昨年度から500円貯金を始めました。たまに貰う500円玉のおつりをコツコツ貯め、いつかとんでもない額にしようと始めたのに、意図的に500円玉のおつりがくるように支払いしてしまう、コツコツ続けられない自分がいます…(2016.8)

蒔種

2018/11/08
  「収穫には立ち会えないかもしれないが出来るだけ多くの種を蒔こう」
  あるドラマを見た際、木材問屋の女主人が「木材とは、今植えたものではない。40年50年前に植えたものが育って商品になる。だから植えた時には自分の利益にならない。それでも、40年後に生きる人のことを思って植えている。次に生きる人の事を考えて、暮らしなさい。」と主人公に伝えるシーンがありました。その時に「収穫には~」の言葉をふと思い出しました。私がこの言葉を知ったのはナカムラミツルという詩人が発表した作品集の題名でした。その後、この言葉の出所を調べてみると、旧ソ連の元大統領ゴルバチョフの言葉であるとされていました。
  女主人やゴルバチョフ氏の言葉は保育に必要な思いであると感じます。子どもたちが大人になった時のことを見据え、たとえすぐに結果に結びつかないものであろうとも、沢山の可能性を根気よく育てていくこと。目の前の変化に目がいきがちですが、大事なのはその先にあるということ。私たち大人が忘れてはならない事なのだと思います。
  7月の徳目は「布施奉仕(ふせほうし)」「誰にでも親切にしよう」ということです。「親」には「身近に接する」「切」には「行き届く」という意味があります。つまり親切とは「身近に寄り添い行き届くようすにる」というのが本来の意味です。これを私自身の子育てに焦点を絞ってみると、子どものためと言いつつ、実は自分が楽になるために言ってきたことも少なからずあるのではないかと考えされられます。目先の自分の都合ではなく、子どもが成長するにあたりどんな経験が大切なのか、それが大人にとっては面倒なことであろうとも、向き合う覚悟をもつことが「親になる」もしくは「大人になる」という事なのではないかと改めて感じます。
  息子が生まれた時に植えた杏の木にたくさん実がなりました。収穫して杏酒にし、息子達が二十歳になるまで漬けておけるような大人になろうと思います。でも、時々味見は必要ですよね。 (2016.7)

活性

2018/11/01
 「はなまつり」というお釈迦様の生誕をお祝いする仏教行事があります。お釈迦様は、お生まれになられてすぐに七歩歩き、右手で天を左手で地を指さして「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とおっしゃったと言われています。この「天上天下唯我独尊」、現代では「自分が一番偉い」といったような、尊大な意味として捉えている方も多いのですが、本当は「私たちそれぞれは、この世界中にどこを探しても他に代わりのいない尊い存在である」という意味が込められております。子どもたちには少し難しい内容であるため、花まつりの日には、本園の保育目標である「明るく」「正しく」「仲よく」に繋がるような内容でお話しをします。「明るく」生活することは、自分の命を輝かせることに、「正しく」生活することは周りの命に気を配ることに、そして「仲よく」生活することは互いの命を大事にすることに繋がります。これこそ「天上天下唯我独尊」を表しているものであると感じます。
  6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」です。「命を大切にしよう」ということですが、子ども達にとって「命を大切に」という言葉だけではピンときません。そして私たち大人もこのことを説明する時、「食べ物を粗末にしてはいけない」「生き物にいたずらしてはいけない」など「~してはいけない」という、どちらかというと後ろ向きな思考を思い浮かべがちです。しかし、非常に難しいことではありますが、より「活かす」視点で命と向き合うことが大切ではないかと感じます。
  仏教保育ならではの良さを生かしながら、子どもたちがイキイキと自分の命を輝かせられるよう、そして自分と同じくらい周りの命も輝かせられる人になれるよう、これからも保育に取り組んで参りたいと思います。
  私が少し肉付きがいいのは、「食べ物を粗末にしてはいけない」と考えているからです…と、苦しい言い訳はやはり後ろ向きな思考になってしまいます。(2016.6)

作法

2018/10/24
  りんご組ではお茶のお稽古があります。ほとんどの子どもたちがお抹茶を「おいしい」と飲み干しており、終始和やかに過ぎていきます。そのなかで、毎回唯一子どもたちが混乱するのは、お茶室の出入りの仕方、いわゆる「作法」です。子どもたちにとって、「どちらの足からお茶室に入る」とか「畳の縁は踏まない」などは、普段は気にしたことのない動作のため、足がおぼつかなくなる子もちらほら。それでもひとつひとつゆっくり覚えようとする様子は非常に微笑ましいものです。

 ところで、子どもたちにとってはもちろん、大人にとっても慣れないと難しい「作法」ですが、そんな作法はなぜ必要なのでしょうか。「それがルール」と捉えると非常に堅苦しいものに感じますが、「相手への思いやりが形になったもの」と考えるとまた違った見方が出来るものと思います。子どもたちにとって、そこまで思いを巡らせることは難しいことかもしれませんが、形式ではなく、心意気を少しずつでも伝えていければと感じました。
  5月の徳目は「持戒和合(じかいわごう)」です。「きまりを守り、集団生活を楽しもう」ということです。「戒」とはもともと「よくない事態に備えて気を引き締める」ことであり、「良い方向へ進むようまわりに気を配る」ことにもつながります。みんなが気持ちよく生活するためにどんな気配りが必要かを考え、行動することが「戒を持つ」ことに他なりません。近年「ルールにはないから」もしくは「それがルールだから」と、相手の思いを無視して自分の都合の良いように「きまり」を解釈したり利用したりすることによるトラブルが、世間で増えているような気がします。きまりのあるなしを議論する前に、相手への思いやりがあるかないかを判断することが大切なのではないかと感じます。そもそも、「きまり」もお互いが気持ちよく生活するために出来たものなのですから。
  きまりではないですが、「普段はビールを1日1本まで」を明日から頑張ってみようと思います…。(2016.5)

傾聴

2018/10/23
 近年、コミュニケーションの技術として「コーチング」という方法が注目を集めています。コーチングと聞くと、スポーツの分野などにおいて監督が選手を教え導く、すなわちティーチングをイメージされるかもしれません。しかし、「答えを与える」ティーチングに対しコーチングとは「自ら答えを作り出すサポートをする」という方法です。その基本となるのが「聞く」ということです。そしてこの「聞く力」は相手の力を引き出させるだけにとどまらず、自分自身の成長にも繋げられるのではないかと感じています。「話す力」の重要性が説かれている昨今、「聞く力」にも注目していきたいものです。
 4月の徳目(より良く生きるための基本となるもの)は「合掌(がつしよう)聞法(もんぽう)」「敬う心を持って人の話を聞こう」という意味です。 園長に就任してから、園児の前で話をする際には本園の保育目標である「明るく」「正しく」「仲良く」を伝えてきました。話す機会は月に1、2度くらいのものなので、それほど多いわけではありません。それでも子どもたちは、2、3度目にはその3つのお約束を覚え、「お約束は何?」と尋ねると声をそろえて答えることができ、子どもたちの聞く力に驚かされます。きっと素直な心で聴いているから覚えも早いのではないでしょうか。頭の中で話の流れを予測してしまうことで、正確に話を聞いていないことが時々ある私は、子どもたちの無垢な姿に、嬉しい半面、自分自身に対する恥ずかしさを感じてしまいます。聞く力があるということは、それだけ心が育っている、もしくは素直な証拠なのだと思います。
 コーチングの理論を踏まえて考えると、私の方が子どもたちに引き伸ばしてもらっているのかもしれません。(2016.4)

光明

2018/10/17
 一人暮らしをしていた頃、部屋が殺風景だったので、室内で育てられる小さいひまわりを7つ購入したことがあります。日中は留守にすると部屋が暗くなってしまうので、窓の桟に置くことにしました。すると、ひまわりは光を求め、7つとも窓側を向いて伸びていきました。せっかく、味気ない部屋を少しでも変化させるために購入したのにこれでは逆に惨めになると思い、ある日から、水を与える時に「こっちを向け~」と念じるようにしました。すると数日後、7つのうち3つがこちらを向きかけていることに気づき、正に念じれば花が開くんだなと感動したことがあります。しかし後に、ひまわりは必ず太陽の方向を向くとは限らないことを知りました。「念ずれば花開く」なんて少し格好良いことを考えていたことに恥ずかしくなり、軽くショックを受けたのを覚えています。

 一方で、ひまわりを部屋側に向けさせて喜んでいた頃のことをよくよく振り返ってみると、その当時悩んでいたことや仕事でうまくいかなかったことが、少しずつ解決に向かっていたことにも気づきました。前向きな言動をすることが周りの環境を良い方向へ変える力もあるんだと、実感した瞬間でもありました。
  さて、3月の徳目は「智慧希望(ちえきぼう)」「希望をもち、楽しく暮らそう」という意味です。どんな環境にあっても全てのものに光を見い出す力を仏教の言葉で「智慧」と言います。楽しく暮らすためには希望をもつことが大切で、希望をもつためには、どんな状況からでも前向きになれる力が必要です。子ども達は進級や進学を控え、期待に胸を膨らませる反面、不安に感じることや思い通りにいかないこともあると思います。それでも、希望に満ち溢れた新年度を迎えられるよう、職員一同大事にお子様達と過ごしていきたいと思います。(2016.3)

熟考

2018/09/25
  患者の細胞から病気を診断することが仕事の病理医というお医者さんがいます。近年は組織や細胞を用いた診断の比重が増しており、細胞や組織を顕微鏡等で見て病気による変化の有無や広がり、良性・悪性の区別、腫瘍の分類などを診断する専門家として、治療方針決定などにも関わるようになってきているそうです。正しい診断をするためには、患者さんの症状から判断する最初の見立てにとらわれることなく、本当の原因を探すことが重要であり、最終判断の決め手として、病理医の診断はなくてはならないものになりつつあるようです。そんな話を聞いた時、自分自身も物事を見る時に多角的に捉えられず、一つの視点や先入観だけで見ていることはないだろうかと、ハッとさせられました。
  さて、2月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」、「よく考え、落ち着いた暮らしをしよう」です。人間は、よく考えているようでいて、実は自分が最初に考えたことに信憑性をもたせるための根拠を探しているだけで、思考そのものはストップしていることがあります。このことは子育てに関しても言えるのではないでしょうか。私自身「自分の子どもは○○だ」と思ってしまいがちです。そんな時に、いったん頭をクリアにしてもう一度子どもを見つめることで、新たな一面や更に成長させられるきっかけを発見できるかもしれません。
  保育園でも、子どもたちが更に心身共に大きくなるために、様々な角度から子どもたちを見つめ、多くの発見を成長に繋げられるよう、一層努めて参ります。
  実は、今回の病理医というテーマは、ドラマからヒントを得たのですが、「また、園長はテレビの話をして…話題はそれしかないのか。それこそ思考停止しているじゃないか。」と言われかねないので、気づいた方はそっと自分の胸にしまって頂き、気づいていない方には内密にお願いします。(2016.2)

笑顔

2018/09/14
  メンタルプロコーチ津村柾広さんという方がいらっしゃいます。津村さんは、2013年に弘前の聖愛高校が甲子園に出場した際、メンタルコーチとしてチームに携わっていた方です。現在はRYOMA塾というメンタルコーチングの講座を様々な場所で展開しており、その方の講演を聴く機会がありました。
  やる気を引き出す為には、心のスイッチを入れる必要があります。では、心のスイッチを入れるにはどうしたらよいか…。自分の心をコントロールすることはとても難しいことですが、自分の体をコントロールすることは難しいことではありません。体を前向きにコントロールすることで、心にも良い影響を与えようというのが、津村さんの考え方です。笑顔は自分の心だけではなく周りへも良い影響を与えることが出来ます。笑顔で接することで周りも明るく前向きにし、「いいね!」と相手を受け入れる言葉を発することでさらに円滑な人間関係を築けるということです。
  さて、1月の徳目は「和顔愛語(わげんあいご)」、「柔らかい顔で、優しい言葉を」です。津村さんの考えはこれに繋がる部分が多くあると思います。心を変えようと思わず、柔らかい顔を作ろう、優しい言葉を発しようと一歩立ち止まることが、心に余裕を生み出す秘訣なのかもしれません。
  私は顔に出やすいとよく言われます。確かに、前の日に食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、次の日から3日ぐらいはすごくむくんで…感情も食事もどちらにも気を付けて生活したいものです。(2016.1)

絶景

2018/09/03
 富山県黒部市に、黒部渓谷鉄道という路線が走っています。もともとは黒部川電源開発のための資材運搬用鉄道で、旅客を乗せる際、過去の切符には生命の保障はしない旨の注意書きが書いてあったほど、深い渓谷部にある鉄道です。現在では安全性が格段に上がり、電源開発のための職員の移動手段としてはもちろん、秋の時季は紅葉などの絶景が見られるポイントとして、鉄道ファンのみならず大きな注目を浴びている観光コースです。
  黒部渓谷鉄道沿線には宿泊施設もあります。しかし、施設を運営するための資材をそろえられる店がその周辺にはありません。そのため、この列車を使いわざわざ市内まで買い付けに行きます。何をするにも時間とコストがかかってしまうのだそうです。そんな沿線にある施設のご主人が「不便な場所にこそ絶景がある」といった旨の話をされていました。なんでもかんでも便利になりつつある世の中、苦労をしないことにより感動が薄れたり、または簡単に出来るようになりすぎて、感動そのものがなくなったりすることもあるのではと感じ、非常に心に残った言葉でした。
  さて、12月の徳目は「忍辱持久(にんにくじきゅう)」、「根気強く取り組もう」です。育児の中にも根気強く取り組むからこそ見られる景色があるはずです。私たちも、これまでの保育を振り返り、子どもたちそれぞれに合わせながら学年が上がるまでに身に付けさせたいことを再度精選し、根気強く取り組んで参ります。
  昔は、辞典や図鑑を使って物事を調べるのが面倒で、よく人に聞いてすませていた根気のない私ですが、今ではネットの力を駆使し、自分で色々調べられるようになりました…と、根気強くなったのか結局何も変わってないのかイマイチよくわかりません。(2015.12)

火矢

2018/08/31
 「下町ロケット」というドラマをご存じでしょうか。TBS系列のドラマです。主演の阿部寛さん演じる町工場の社長が、大企業の思惑に翻弄されながらも、自分の夢をあきらめず叶えていくというお話しです。話の構成的には非常に単純明快ではあるのですが、引き込まれ、最後はとてもすっきりする内容です。ただし、気持ちが高ぶってしまい、このドラマの直後はすぐに寝付けず、寝不足気味になってしまいます。
  どんな逆境に立たされても、仲間同士それぞれの役割を果たそうと懸命に取り組み、打開策を見つけ逆転する姿はとても気持ちの良いものです。仲間と協力して一つの目標に向かうすばらしさを改めて感じることができ、最近の楽しみの一つとなっています
  さて、11月の徳目は「精進努力(しょうじんどりょく)」、「最後までやり遂げよう」です。来月にはおゆうぎ会があり、子ども達はおゆうぎ会に向け少しずつ動き出しています。劇を行うクラスでは、どの役を演じるのか子ども達同士で話し合いますが、毎年、主人公や目立つ役に希望が殺到します。しかし、どの役もとても重要であり、それぞれの役割を最後までやり遂げることで劇が成り立つことを伝え、取り組んでいます。今年もそのようなやりとりが見られることと思いますが、互いに話し合い、例え第1希望の役が当たらなかったとしても、役を一生懸命演じることで子とも達がまた一つ成長するものと信じています。その他の遊戯でも、みんなで踊ったり歌ったりすることの楽しさ、すばらしさを伝えながら取り組んで参ります。どうぞご家庭でも、温かく見守って頂けたらと思います。
  さて、次回の下町ロケットは「あきらめきれない夢が今、動き出す そして社員達は…」お楽しみに!……文章の締めを最後までやり遂げず、このドラマの予告CMに頼る私はまだまだ精進努力が足りません。(2015.11)

楕円

2018/08/10
 2015年にラグビーのワールドカップ、日本対南アフリカの試合が行われました。日本はW杯で今まで1度しか勝ったことがなく、対する南アフリカは優勝候補の一角でした。しかし、結果は大金星。試合終了間際、数点差で追いかけている日本は、相手のファールでチャンスを得ると、同点にできる可能性の高い戦術をとらず、あくまで勝ちにいく姿勢を見せ、逆転を目指す戦術で見事成功しました。この劇的な展開が世界中で評判となり、この勝利をさらに感動的なものにしました。
  試合後、とある日本人選手が「ラグビーが注目されてる今だからこそ日本代表にいる外国人選手にもスポットを」と日本代表でプレーする外国人選手へ注目して欲しいとツイッターで訴えたこともまた話題となりました。ラグビーは他の競技によりも外国人が比較的日本代表になり易い条件となっているようで、3分の1が外国人選手です。私はこの報道を知るまで、日本代表に外国人がいることに、おぼろ気ながら違和感を感じていた自分がいることに気づきました。様々な考えの末、自国ではなく日本のチームを選び、そして今はそのチームのために一生懸命になっている姿を見て、国籍に必要以上にこだわる自分は器の小さいちっぽけな人間だなと感じました。
  さて、10月の徳目は「同時協力(どうじきょうりょく)」、「お互いに助け合おう」ということです。「協力」には「力」の漢字が多く、「力を合わせる」ことを先にイメージしがちですが、「心を合わせること」が前提であり、そしてそれが何よりも大事なことであると感じます。園でも、運動会で子どもたちが経験した互いに心を合わせる喜びや大切さを、これからの行事はもちろん、普段の生活におけるお友達同士のやりとりにこそ意識させ、深めていきたいと思います。
  ちなみに、ツイッターした選手は私の大学の後輩です…って会ったこともない後輩に対し先輩面する私は、やっぱり器の小さい人間です。(2015.10)

2018/08/07
 「自分の機嫌は自分で取る。人に取ってもらおうとしない。」
  お笑い芸人みやぞんが、過酷なロケの最中につぶやいた言葉です。みやぞんとは、運動神経が非常に良いことに加え、いつもニコニコと笑顔を絶やさないため、最近は様々な番組に出演しています。今回の番組でも、目的を達成するまでの間様々な災難に見舞われスタッフも疲労困憊の中で、自分を奮い立たせるように「自分の機嫌は自分で取る。」と笑顔を絶やさず前向きな姿勢を見せ、私の目にはとてもカッコ良く映りました。
  明照保育園のお約束「明るく」「正しく」「仲良く」の話をする際、子どもたちには「いつも笑顔でいることが『明るく』ということです」と伝えいますが、先日「明るく」とはどうすることですか?と子どもたちに聞いてみたところ「みんなを笑顔にすることです。」と答えた子がいました。「自分の笑顔で、周りも笑顔にする」ともう一歩踏み込んだ考え方もいいなと、園児の回答をきっかけに考える機会となりました。
  8月の徳目は「自利利他(じりりた)」「出来ることはすすんでしよう」ですが、「自利」という言葉通り自分にとってのプラスにもならなくてはなりません。自分の機嫌は自分でとり笑顔になる事で、みんなも笑顔にしていく姿は正に「自利利他」の体現であると感じます。「まずは自分から笑顔に…」どんなときでもポジティブな気持ちを心がけていきたいものです。
  今回の文章はどんなテーマにしようか考えている時に、難しい顔してもダメだと思い、ニコニコしながらパソコンに向き合っていたら気持ち悪がられ、既にネガティブとです。園長です…園長です…園長です…。(2018.8)

世間

2018/07/28
 とあるドラマの登場人物が「世間様」と話すシーンがありました。最近はあまり耳にしない言葉であったので印象に残っていたのですが、よくよく考えると本当に謙虚な気持ちがないと出てこない言葉だなと思いました。周りのお陰で自分がいる、その想いが「世間」に「様」を付ける姿勢に繋がっているのだと感じます。

 一方「ありがとう」という言葉は普段耳にする機会が多くあります。元々、ありがとうの語源である「有難(ありがた)し」という言葉は「滅多にない」という意味で遣われていました。つまり、「滅多にないことをしてくれた」という感謝の気持ちが「ありがとう」には込められています。どんなに些細なことも滅多にないことと捉え、「ありがとう」と伝える。普段何気なく使っている言葉ではありますが、込められた想いを改めて考えてみたいものです。
  9月の徳目は「報恩感謝(ほうおんかんしゃ)」「あらゆることをありがたく感じよう」ということです。剣道には「打たれて感謝」という言葉があります。負けて悔しいと思うのではなく、自分の改善点を教えてくれて有り難うと思う心が大切であると、この言葉は教えています。自分の改善点を指摘されることは時に非常につらいこともあります。しかし、謙虚な気持ちでそれを受けとめ、次に活かすことが大切なのだと改めて感じました。正に、「世間様」のお陰で自分がいるのです。
  私自身、まだまだ未熟な部分が多々あるかと思いますが、明照がよりよい園になるため、皆様のご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。
  でも、結構打たれ弱いガラスのハートなので優しくアドバイスして下さいね♥(2015.9)

飴玉

2018/07/24
 海外での山登りツアーに参加した時の話です。山道の途中にある休憩ポイントでは、行商がお土産品を販売しに来ます。行商の人たちは山間部に住んでおり、時々自分の子どもたちを連れて売りあることもあります。
  休憩ポイントで、私は飴を取り出し食べようとしました。すると、横からすごい視線を感じ、見てみると、行商の子どもがその飴を欲しそうに、私を、むしろ飴を見つめていました。飴で喜んでもらえるならと渡そうとすると、山岳ガイドの方に「ダメです!」と強い口調で言われました。その子はもらえないことを察知し、寂しそうな表情で、仕事を終えた親と一緒に帰っていきました。私は、あれだけ嬉しそうにしているのになぜダメなのか、腑に落ちず少し悶々としていました。するとガイドさんは、こんな話をしました。
「山間部の人たちは、砂糖を口にすることはあまりなく、お菓子を食べることでむし歯になる可能性が高まる。むし歯になったら、時間をかけて都市部まで治療しに行かなくてはならず、治療費もかかり、その家族は大変な目に遭う。」
私はハッとしました。親切で行っていると思ったことがただの自己満足に過ぎず、その子の置かれた現状や先のことまで考えていなかったことに気づいたのです。
  8月の徳目は「自利利他(じりりた)」「出来ることはすすんでしよう」ということです。「親切」というと「与えること」「してあげること」をまず思い浮かべるかもしれませんが、必ずしもそれが相手にとってプラスになるとは限りません。場合によってはただの自己満足であり、「与えない」「してあげない」ことが本当の親切であることもあります。正に子育てがそれに当てはまるのではないでしょうか。先回りしたり、与えたりすることで私たち大人は安心しがちです。しかし、「何でも思い通り」が子どもたちにとって当たり前になると、成長してから大きな弊害となります。子どもの成長に合わせた「すること」「しないこと」のバランスが大切なのだと思います。
  食事中、自分で食べられるのに「食べさせて」とせがむ娘に、ついつい手をかしてしまう私は、海外での反省を未だ活かせていません…(2015.8)

「算数」

2018/06/25
 「おもいやり算~人を笑顔にする算数~ 『+たす』けあうと大きな力に 『-ひき』うけると喜びが生まれる 声を『×かける』とひとつになれる いた『÷わる』と笑顔は返ってくる」
  先日、りんご組とめろん組はバラまつりのオープニングに出演しました。新たな年度を迎えてまだまだ落ち着かない中、約1ヶ月程の練習ではありましたが、子ども達は本当に良く頑張っていたと思います。練習当初の子ども達は、自分のことにいっぱいいっぱいで、周りに合わせる余裕がありませんでした。しかし、少しずつ周りの音や動きを感じ取り、みんなと合わせようとする気持ちが芽生え、一体感が出始めました。一体感が出ると、それまでにも増して練習に熱が入っていったように感じます。「おもいやり算」と言うほどではありませんが、周りに目を向けることが結果的に自身の意欲にも繋がり、より良い結果をもたらしたという素晴らしい体験だったのではないでしょうか。
  7月の徳目は「布施奉仕(ふせほうし)」「誰にでも親切にしよう」ということです。今日、「因果応報」という言葉は、「悪いことは巡り巡って必ず自分にも返ってくる」という意味で使われますが、本来は「良いこと」も巡り巡るという意味も持ち合わせていました。周りを思いやった言動は、結果自分にも良い影響をもたらします。もちろん最初から見返りを期待した、打算的な行動はその限りではありませんが…
  私たちは物事がうまくいかないとき、どうしても自分以外の人や物のせいにしたくなりがちです。しかし突き詰めて考えていけば意外と自身にも多少の原因があったりします。また、例え最初のつまずき要因は自分でなかったとしても、悪い流れが続き悪循環に陥っているとしたら、それは自身の言動を見直すことで解決の糸口が見つかったりするものです。
  最近、首ヘルニアによる左腕の痛みが増していますが、きっとそれは息子達が、私のベッドで飛び跳ねて遊び、コイルをボロボロにしたために正しい姿勢で眠ることが出来なくなったからに違いありません!(2015.7)

「楽観」

2018/06/18
  「孤独のグルメ」という番組をご存じでしょうか。元々はグルメ漫画をドラマ化したもので、松重豊さん演じる「井之頭五郎」が仕事の合間に立ち寄った店で食事をする様子を描いたドラマです。このドラマは料理のうんちくを述べるのではなく、ひたすらに主人公の食事シーンと心理描写を綴っているという点が特徴的であり、一見とてもシュールな内容ですが、気づくと見入ってしまいます。実際、深夜の番組ながら視聴率が良く、シーズン7まで制作されている人気番組です。マンガの購入者も4割が女性だそうで、男女関係なく人気のようです。シブい男性なのですが、「腹がペコちゃん」「昼なのにヨルダン」等といった親父ギャグをさらっと言うところもウケている理由なのかもしれません。
  主人公は決して高級なものを食べるわけでなく、とにかく食事を楽しんでいます。その様子は達観の域に達しており、正に「いただきます」「ごちそうさま」の意味を体現しているようにも見えます。少し大げさかもしれませんが、与えられたる天地の恵に感謝している姿勢が、そこに感じられました。
  6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」です。「命を大切にしよう」ということですが、「命を大切に」という言葉は子ども達にとっては分かりづらく、どうしても「食べ物を粗末にしてはいけない」「生き物にいたずらしてはいけない」など「~してはいけない」という禁止行為のような、命の保護を目的とした、どちらかというと消極的で悲観的な思考を思い浮かべがちです。しかし、生命尊重とはもっと前向きであるべきだと思います。そして本園の保育目標「明るく」「正しく」「仲よく」が生命尊重につながる行為であると考えます。「明るく」生活することは、自分の命を輝かせることに、「正しく」生活することは、周りの命に気を配ることに、そして「仲よく」生活することは、互いの命を大事にすることに繋がり、命をイキイキと輝かせる、楽観的な思考へと導いてくれます。命をより活かす視点で物事を考えていきたいものです。
  文章を考えていたら、「腹がペコちゃん」になってきたので今日はこのくらいにしておきます…(2015.6)