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大蒜

2018/11/28
 最近、熟成肉、熟成魚(「エイジングフィッシュ」と言うそうです)という言葉を見かけることが多くなりました。魚は種類にもよりますが、新鮮なうちではなく、時間をかけて寝かせることによって、より美味しくなるという考えです。寝かせている間にATPやADPという物質が分解されて、イノシン酸という「旨み成分」が出るという仕組みで、このイノシン酸が一番出ている時が「熟成した」状態であり、その時期を過ぎると腐ってしまうのだそうです。熟成方法そのものは非常にシンプルで、食材をいい状態で仕入れたら、簡単な処理をして低温で寝かせ、香りと旨味が最高潮に達した絶妙なタイミングで出すというものですが、そこが一番難しい部分でもあります。特に、熟成のピークを見極めるのは、ある一定の科学的根拠はあるにせよ、食材それぞれの様子を判断しなくてはなりません。製法は異なりますが、青森県には黒ニンニクというものがあります。こちらは、適度な湿度を保ち高温で2週間~4週間ほどかかり、最初の5日ほどはニオイが大変なのだそうです。
  どちらも、必要以上に手をかけませんが、しっかりと環境を整え、時間をかけじっくり頃合いを窺うことで、その素材の良さを引き出しています。
  さて、12月の徳目は「忍辱持久(にんにくじきゅう)」、「根気強く取り組もう」です。子育ても、食材を熟成させる方法と通じる部分があるように感じます。私は、子どもが失敗しないようにと先回りで手をかけてしまうことがしばしばありますが、手をかけすぎると、子ども自身の成長に繋がりません。環境を整えてあげ、時間をかけじっくりと向き合うことも大切なのではないかと感じます。かといって、放任してしまうとそれも逆効果です。子どもの成長する力を信じつつ、必要なタイミングで手を差し伸べる。大人の根気強さが試される場面なのだと感じます。
  忍辱で大蒜(ニンニク)を思いついた割りに、大蒜はとってつけたような内容であることが、この文章の熟成していないところです。(2016.12)

絶景

2018/09/03
 富山県黒部市に、黒部渓谷鉄道という路線が走っています。もともとは黒部川電源開発のための資材運搬用鉄道で、旅客を乗せる際、過去の切符には生命の保障はしない旨の注意書きが書いてあったほど、深い渓谷部にある鉄道です。現在では安全性が格段に上がり、電源開発のための職員の移動手段としてはもちろん、秋の時季は紅葉などの絶景が見られるポイントとして、鉄道ファンのみならず大きな注目を浴びている観光コースです。
  黒部渓谷鉄道沿線には宿泊施設もあります。しかし、施設を運営するための資材をそろえられる店がその周辺にはありません。そのため、この列車を使いわざわざ市内まで買い付けに行きます。何をするにも時間とコストがかかってしまうのだそうです。そんな沿線にある施設のご主人が「不便な場所にこそ絶景がある」といった旨の話をされていました。なんでもかんでも便利になりつつある世の中、苦労をしないことにより感動が薄れたり、または簡単に出来るようになりすぎて、感動そのものがなくなったりすることもあるのではと感じ、非常に心に残った言葉でした。
  さて、12月の徳目は「忍辱持久(にんにくじきゅう)」、「根気強く取り組もう」です。育児の中にも根気強く取り組むからこそ見られる景色があるはずです。私たちも、これまでの保育を振り返り、子どもたちそれぞれに合わせながら学年が上がるまでに身に付けさせたいことを再度精選し、根気強く取り組んで参ります。
  昔は、辞典や図鑑を使って物事を調べるのが面倒で、よく人に聞いてすませていた根気のない私ですが、今ではネットの力を駆使し、自分で色々調べられるようになりました…と、根気強くなったのか結局何も変わってないのかイマイチよくわかりません。(2015.12)

「土台」と「建物」

2018/05/25
 「劇的ビフォーアフター」という住宅リフォーム番組をご存じでしょうか?私にとってお気に入りの番組の一つです。特に狭小住宅のリフォームの時は、建築士はいったいどんなアイディアで、狭い空間を、過ごしやすい素敵な空間へと変えるのかとワクワクしながら見ています。そして最後には、いつも素敵な家が完成するのですが、毎回と言っていいほど番組内で話題となることがあります。それは「土台」です。取り上げられる建物の中には、土台がしっかりと造られておらず、補強をせざるをえない状況になっているものもあります。どんなに見た目が素敵な家でも土台がしっかりしていないと長持ちしないのだなと改めて感じます。
 さて、12月の徳目は「忍辱持久(にんにくじきゅう)」、「根気強く取り組もう」です。時に人間も「土台」と「建物」の例えで語られることがあります。明照ではその土台を「心の成長」と「基本的生活習慣の確立」とし、その上に建物である「知識」や「技能」があると考えています。知識技能はその発達が解りやすいものであるのに対し、「心の成長」と「基本的生活習慣の確立」は解りづらく、それ故見過ごされることもあります。しかし、継続的に「知識・技能」を習得するためには、学びたいと思う「心の成長」、学習環境を整えるための「基本的生活習慣の確立」といった土台は、なくてはならないものであると考えます。そして、人間の「土台」の発達は「建物」より根気のいるものです。子どもたちの更なる成長のために、保護者の皆様と共に根気強く取り組んでいけたらと思います。

 土台だけに普段より「かたい」話になりました。(2014.12)