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「楽観」

2018/06/18
  「孤独のグルメ」という番組をご存じでしょうか。元々はグルメ漫画をドラマ化したもので、松重豊さん演じる「井之頭五郎」が仕事の合間に立ち寄った店で食事をする様子を描いたドラマです。このドラマは料理のうんちくを述べるのではなく、ひたすらに主人公の食事シーンと心理描写を綴っているという点が特徴的であり、一見とてもシュールな内容ですが、気づくと見入ってしまいます。実際、深夜の番組ながら視聴率が良く、シーズン7まで制作されている人気番組です。マンガの購入者も4割が女性だそうで、男女関係なく人気のようです。シブい男性なのですが、「腹がペコちゃん」「昼なのにヨルダン」等といった親父ギャグをさらっと言うところもウケている理由なのかもしれません。
  主人公は決して高級なものを食べるわけでなく、とにかく食事を楽しんでいます。その様子は達観の域に達しており、正に「いただきます」「ごちそうさま」の意味を体現しているようにも見えます。少し大げさかもしれませんが、与えられたる天地の恵に感謝している姿勢が、そこに感じられました。
  6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」です。「命を大切にしよう」ということですが、「命を大切に」という言葉は子ども達にとっては分かりづらく、どうしても「食べ物を粗末にしてはいけない」「生き物にいたずらしてはいけない」など「~してはいけない」という禁止行為のような、命の保護を目的とした、どちらかというと消極的で悲観的な思考を思い浮かべがちです。しかし、生命尊重とはもっと前向きであるべきだと思います。そして本園の保育目標「明るく」「正しく」「仲よく」が生命尊重につながる行為であると考えます。「明るく」生活することは、自分の命を輝かせることに、「正しく」生活することは、周りの命に気を配ることに、そして「仲よく」生活することは、互いの命を大事にすることに繋がり、命をイキイキと輝かせる、楽観的な思考へと導いてくれます。命をより活かす視点で物事を考えていきたいものです。
  文章を考えていたら、「腹がペコちゃん」になってきたので今日はこのくらいにしておきます…(2015.6)

「いただきます」と「ごちそうさま」

2018/05/12
 友人と食事に行くと、よく「お坊さんは肉とか魚とか食べられないんでしょ?」と聞かれます。仏教には「不殺生戒」というきまりがあり、生き物を殺生してはならないということから、多くの方がそう考えているものと思います。しかし、考えてみると肉や魚だけでなく、米や野菜、果物にも命はあります。また、普段歩いているだけでも目に見えない虫を踏んでいたり、病気になれば薬を飲んで細菌を退治しています。つまり、言葉の通りに捉えると私たち人間は生きていくことができません。より良く生きるための戒が、これでは全く意味をなさないことになってしまいます。そう考えると、言葉の奥深くにある真意を考える必要があるのではないか、ということにたどり着きます。
  この「不殺生戒」とは「生き物を殺す殺さない」ということが問題ではなく、「頂いた命のエネルギーをどんなことに使うのか」ということが重要だと考えます。私たちの命は、様々な命のお陰で成り立っています。だからこそ、頂いた命のエネルギーを、自分のためだけでなく周りのために回し向けることが、頂いた命を「活かす」ことに繋がるのではないでしょうか。食事の挨拶「いただきます」と「ごちそうさま」。「いただきます」とは「命をいただきます」という意味があります。また、「ごちそうさま」は漢字で「ご馳走様」と書き、自分のために食材準備に「奔走」してくれた方々への感謝が込められています。「不殺生戒」の本当の意味が、ここから見えてくるような気がします。
  6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」です。「生き物を大切にしよう」ということですが、周りのお陰で自分がいることに気づくことが、生命尊重の第一歩となると思います。また、生き物だけにとどまらず、物を大切にすることも命を大事にする心を育てることに繋がっていくのではないでしょうか。
  いずれにしても、食べ過ぎ飲み過ぎはいけませんね…(2014.6)